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26歳の夏 突然告げられた病名 それは絶望だった

告知

2004年7月


26歳で


思いもよらぬ形でHIV告知を受ける



そんな事言われるなんて夢にも思っていなかった


正しく寝耳に洪水状態






僕はHIVに感染したんだ



夢と希望を持って都会に出てきたばかりなのに



まだちゃんと恋愛もしてないのに



エイズになって死ぬんだ・・・



汚くて軽蔑され差別されるエイズ





お母さんゴメンね





あなたの息子はゲイでHIVに感染しました




ごめんなさいごめんなさいごめんなさい




もう生きてはいけないです


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考えたくない

その日は遅番だった為、午後から会社に出社した





HIV感染がわかった日




人生がひっくり返った日





本当は休んでも良かったけど






独りになりたくなかった







独りになるとどんどん思いつめてしまう





考えたくない事を考えてしまう






何かしていたい







現実を受け入れたくない
















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変わらぬ気持ち

ソーシャルワーカーのおばさんは



これまで僕に起こった身の上話を親身になって聞いてくれた



父親の会社が倒産して家族がバラバラになった事



兄が覚せい剤で逮捕された事




母親のPTSDと自殺未遂



それらの事から逃げる様にして家を出て来た事




ソーシャルワーカーのおばさんは



「そうですか」


「大変でしたね」


「よく頑張ってこられましたね」


「大丈夫ですよ」




親身になって話を聞いてくれてる感じはするが・・・



多分この人は何を話しても労いの言葉ばかりだろう



悪い事は言わないだろう




これが仕事だもんな。




きっと今晩も家に帰ってテレビを観ながら笑うんだろうな



この人は・・・



HIVに感染して絶望してる僕の事なんて


ほんとはどうでもいいよな



他人だもん・・・



HIVなんかに感染したろくでもない奴


ぐらいにしか思ってないんだろうな・・・
















一通り、僕の身の上話を聞いた後




ソーシャルワーカーのおばさんが話し出した





この大きな病院は


HIVの拠点病院になっているらしく


HIVの患者が結構いる事


(だから先生は普通にHIVの話をしたんだな・・・


小さい病院だったらそんなあっさり言えないもんな)



次回は外科の先生ではなく、専門の先生の診察を受ける事



これからはこのおばさんが僕のケアをしてくれる事






その後、病院の電話番号とおばさんの内線番号を書いた紙




そして




『いのちの電話』の番号を書いた紙




命がどれだけ尊いかを書いた冊子を手渡してくれた







きっと僕が泣きながら



「死にたい」


「もう生きて行けない」


と連呼していたからだろう・・・



でも、本当にそんな気持ちだった






当時も



今も・・・






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知られたくない

診察室で号泣する僕を看護士が腕を取ってどこかに連れて行く・・・



泣いて泣いて泣いて



気付いたら小綺麗な部屋に座っていた



目の前にはおだやかそうな白髪のおばさん



彼女はソーシャルワーカーだと言う



ソーシャルワーカー?聞き慣れない言葉だ



おばさんは優しく話しかけてくる



「大変でしたね・・・」と




大変・・・



そうだ、自分は今、とても大変な事になっているんだ


たった今


これまで生きてきた26年間の人生が音を立てて崩れ去ったんだ・・・



自分は H I V



今まで人ごとだと思っていた病気が


今自分の身にふりかかっている


HIVに対してまったく何の知識もない僕でも




HIVは治らない病気


苦しんで死ぬ病気


恥ずべき病気


それぐらいの事わかっている









今、目の前のおばさんは僕に「大変でしたね」と言った




このおばさんは僕がHIVだって事を知っているのか?




いやだ・・・



誰にも知られたくなんかない・・・




HIVだなんて・・・





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告知-結果-

首筋のしこりの様なモノの摘出手術を決めた2週間後










手術当日・・・









まずは診察室で手術するにあたって行われた検査の結果を聞く









2週間前に仕方なく、嫌々手術を決め



言われるがまま行った検査・・・・









先生は検査結果を診ながら・・・




「赤血球数が○×△@・・・



白血球数が○×△@・・・



ヘモグロビンが○×△@・・・」







何を言ってるのかよく分からないが、



まぁ問題ないらしく



まあ、俺は健康体だよと思いつつ



ふ~んと聞いてたその時・・・






















「HIVの値はあまりよくないですね・・・」















と言って、また先生は






「コレステロール値が○×△@・・・」





と続ける・・・






僕は先生が何を言ってるのかますます分からなくなったので、説明を続ける先生の言葉を遮って







「先程、HIVとおっしゃいましたが?」






「え?あぁHIV値が低いですね・・・」






「H I V ? それって・・・エイズの?」






「はぁ・・・




ご存知・・・なかったですか・・・」









「え?どういう事ですか?HIVって?





それって、僕がHIVに感染していると言う事ですか?」







「はい・・・このデータ上ではそう出ていますが・・・」





HIVに感染・・・









一瞬その意味が全く理解出来なかったが




先生の心配そうな顔を見て事態が分かった








その時



あぁ・・・やっぱり・・・



と言った気持ちと



なんで?なんで俺なの?



と言った気持ちが入り混じり



そのまま診察室でうなだれ号泣してしまう







HIVHIVHIVHIVHIVHIVHIVHIVHIVHIVHIVHIV・・・・・・・・・・・






号泣してパニックになる自分と、意外に冷静な自分





不思議なくらいこの両方が自分の中にあった




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