診察室で号泣する僕を看護士が腕を取ってどこかに連れて行く・・・
泣いて泣いて泣いて
気付いたら小綺麗な部屋に座っていた
目の前にはおだやかそうな白髪のおばさん
彼女はソーシャルワーカーだと言う
ソーシャルワーカー?聞き慣れない言葉だ
おばさんは優しく話しかけてくる
「大変でしたね・・・」と
大変・・・
そうだ、自分は今、とても大変な事になっているんだ
たった今
これまで生きてきた26年間の人生が音を立てて崩れ去ったんだ・・・自分は H I V
今まで人ごとだと思っていた病気が
今自分の身にふりかかっている
HIVに対してまったく何の知識もない僕でも
HIVは治らない病気
苦しんで死ぬ病気
恥ずべき病気
それぐらいの事わかっている
今、目の前のおばさんは僕に「大変でしたね」と言った
このおばさんは僕がHIVだって事を知っているのか?
いやだ・・・
誰にも知られたくなんかない・・・
HIVだなんて・・・
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